水曜日は雨の中お仕事に励んだ後、死力を振り絞ってアカデミー賞作品賞に輝いた『ハート・ロッカー』を見てきました。いまだ混乱のただ中にあるイラクで、爆弾処理を任務とする兵士たちを描いた作品です。
この映画もちょっと手ごわいタイプの映画ですね。ストーリーにそれほど起伏があるわけではなく、戦場での幾つかのエピソードが順々に語られていくような形式


わたしとしては前半と後半における主人公の落差が気になりました。登場時は「ふんふんふ〜ん」と鼻歌混じりでスイスイ爆弾をばらしていた主人公が、後半になると途端にミスを連発し、空回りが多くなっていきます。しかし彼の心情は本当に必要最小限しか明かされないので、その辺受け手の洞察力が試されるところです


個人的には、現在の中東の状況をなんとかしたい・・・というような社会的なメッセージはあまり感じられませんでした。むしろ感じたのは諦観というか、「悟り」のようなもの。登山家は「そこに山があるから上るんだ」と言います。処理班はきっと「そこに爆弾があるから解体する」、そういうものなのでしょう(爆破するという手もありますが)


昨日は仕事の合間を縫って、やはりサンドラ・ブロックがアカデミー主演女優賞をゲットした『幸せの隠れ場所』を見てきました
実話に基づく物語。ある雨の日、行き場をなくした一人の青年を見たヒロインは、彼に同情を抱き、自分の家に招きます。ヒロインは彼を新たな家族として迎え入れ、その才能を伸ばそうと何くれとなく世話を焼くのでした


うにゃ〜 これ良かったです。『Gフォース』『コラライン』と並んで、今年見た中では一番よかったかも(今年まだ三ヶ月ですけど)
だから言ってるじゃないですか。わたしは「やせ我慢」に弱いんですよ! この映画、それこそもう「やせ我慢」ネタがてんこもりなもんですから・・・ うお〜ん あお〜ん うおあお〜ん(T T)


「誰かを助けたい」と願うこと。「誰かを守りたい」と思うこと。これは教えられても簡単に身につくことじゃありません。一種の才能といっていいです。そして世の中には、そういう才能に恵まれた人が確かにいる・・・ そのことにとても慰められた気がしました


フラガール』にも似たシーンがありましたが、しかめっ面で「じゃあね」と行ってしまったあと、物陰でこっそり泣いていたりする。そういう人って素敵だなあと。そう思いながらまたしても鼻水をじょばじょばぶちまけたのでした

さて、アカデミー賞関連の映画を続けて見たので、いまさらですが思ったことをもうちょっと


今年は『アバター』と『ハート・ロッカー』の一騎打ちか、なんてことがよく言われてました。わたしは『アバター』評価してますけど、作品賞の受賞はまずないだろうと思ってました。なぜなら、今までアカデミー作品賞をSFが受賞したことは一回もないから
そんで過去五年間の受賞作品を見てみますと、最近の傾向がなんとなくうかがえるような


2004年 ミリオンダラー・ベイビー
2005年 クラッシュ
2006年 ディパーテッド
2007年 ノー・カントリー
2008年 スラムドッグ$ミリオネア


そして2009年『ハート・ロッカー』と
共通点は
現代社会が舞台
・作品に緊張感・圧迫感が溢れている
・社会的地位は決して高くない者が主人公(良くて中流、悪くて貧民)
・「対決」「摩擦」「勝負」がよく描かれている


こんなところでしょうかねー。まあそろそろ来年あたり、またスケールの大きな歴史劇とか来ても良さそうな気がします
あと正直に告白しますと、わたし『クラッシュ』だけは見てません(爆)。あらすじを読んだだけです。見た方、どうです? 上の法則あてはまってますか?