sga8512009-06-21

日課長がこう言いました


「あの話題の本、オレも読んでみようかなあ。ほら、村上春樹の『イチキュウなんとかかんとか』ってヤツ」


課長・・・ それはもしかして『IQ84』のことでしょうか・・・


その言葉を、わたしはとうとう口に出来ませんでした

(追記 間違ってたのはわたしでした。『1Q84』であってたようです。とんだ赤っ恥です。まぎらわしいんだよ春樹!←逆ギレ)


そんなわけで、今日は文学の話題です
一昨日は桜桃忌でしたね。この由来となっている『桜桃』という作品も、実はけっこう困ったお話だったりするんですが


今年は生誕100年ということで、太宰治にあらためて注目が集まっているそうです。意外だったのは松本清張も生誕100年だったということ
ただ松本氏が作家デビューを果たしたのは太宰氏が亡くなったあとなので、二人の活動時期は全く重ならなかったようです


ところで皆さんはあの『走れメロス』は、実は太宰の実体験に基づいて作られた(らしい)ということはご存知でしょうか。だいぶ前にブログにそのことを書き綴ったことがあったので、以下再掲いたします


太宰治壇一雄。当時『文壇のダブル・ダイナマイト』と呼ばれた二人は、旅先の小料理屋で一杯やることにしました。ところが計画性のまるでない二人のこと。高い魚をホイホイ注文しているうち、手持ちの金額では勘定がとても払えなくなっていることに気がつきます(馬鹿だ)。
そこで太宰はダンを泊まっていた旅館に人質として残し、一人東京に金策のため、帰ります。太宰の帰りを待ちわびるダン。ところがどっこい大作、まてどくらせど太宰は戻ってこない。いい加減堪忍袋の緒が切れたダンは、親戚を呼び寄せて金を払わせ、なんとか自由の身になります。
『だざいーッ! ぶっころーすッ!』と殺る気まんまんで東京にかえってきたダン。血眼になって太宰の居所を探し回った結果、I伏鱒二宅で飲んだくれている標的を発見。『ワレええ度胸しとるやないけ!』と締め上げます。すると、太宰は、『お、お、おれだってつらかったんだぞーっ!』と逆切れしたといいます。

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なんていい話でしょう。本家『メロス』の感動もふっとびます。しかし自分の失敗を、ずうずうしくも美談に造り変えて発表してしまう太宰のこういうダメダメさに、ある人は母性愛をくすぐられ、ある人は共感を覚えてしまうのでしょう。数年前のデータですが、新潮文庫の累計売上トップが『人間失格』というのもその辺から来ている気がします。『安いから』というのもあると思いますが(ちなみにダンさんは『メロス』発表後、『名作を創る手助けができてよかった』なんてコメントをのこしています。この人もようわからん人だ)。」


より正確な事実をお知りになりたい方は、以下のURLをごらんください
 http://www.tulips.tsukuba.ac.jp/memb/hayashi/meros.html


先日再販された『太宰と安吾』(壇一雄著)という本が、ちょっと読んでみたくなったわたくしでした


画像は最近のモン吉先生。例によって記事とは何の関係もありません


本店に映画『ターミネーター4』の記事UP
http://sga851.cocolog-izu.com/sga/2009/06/mcg-1c00.html