sga8512008-05-12

本日はちょいと遠出して映画『つぐない』と『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』を観てまいりました


わたしは最初は全然興味がなかったくせに、ブログなどでみなさんが「すっごい良かった!」と書いてるのをみてると、「なにそれ! あたしも見てみたいじゃん!」という気分になることがよくあります。この二本はまさにそんな感じ。あと両方オスカー関連でもありますね


まず『つぐない』から
第二次大戦直前のイギリスが舞台。見事なまでにツンデレラな令嬢と、やることなすこと野暮ったい使用人のセガレ。二人はいつしか心を通い合わせるようになりますが、ツンデレの妹の誤解がもとで、その恋は悲しい運命を迎えることになるのでした


出だしは使用人息子のうっかりぶりがけっこう笑いを誘ってくれます。でもそれがやがて気まずく、腰の落ち着かないムードに変わって行き、後半はもうずーっとやるせなーい空気が垂れ流れております
劇中で「二人に幸せを与えてあげたかった」というセリフがありましたが、「観客にも幸せをくれよ!」と言いたくなってしまいました(笑)


まあ個人的な好みは置いといて、一本の映画としては大変見ごたえがありました。構成や絵的な面でもいろいろ光るところがあったし


自分の犯した罪の大きさに気づいて、必死でそれをつぐなおうとする少女の姿があまりにも悲しい。確かに彼女は許されない罪を犯したかもしれませんが、女心のわからぬ野暮天くんにも多少の責任はあると思いました


で、次はさらに長くてさらに疲れそうな『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』。『つぐない』で受けたダメージはけっこうでかく、いっそ今日はもう帰ろうかとも思ったのですが、男子たるもの初志を曲げてはいけません。気力を振り絞って鑑賞してきました


キラーナイトとマカボーイが悲恋を繰り広げていた少し前、アメリカでは一人のおっさんが石油をみつけようと地面をほっくリ返していました
彼の名はダニエル。石油が出ると聞けばすっとんでいって、直ちに自分の利権を確保します
その強引なやり方は当然様々な軋轢を呼びます。特にある土地の狂信的な青年とは、利権をめぐって激しくやりあうことになるのですが・・・


タイトルとあらすじから、「富をめぐって繰り広げられる、血みどろの仁義なき戦い」みたいなものを想像してたんですね。ところがたまに事件が起きる以外は、思いのほかまったりとした作品でした


印象は「長いなー」というもの。ダニエル・デイ・ルイス演じる主人公のイカレぶりにはそれなりにひきこまれたし、「昔の石油屋さんはこういう風に仕事してたんだ」という点では勉強になるんですが、個人的には「面白い」というのには程遠かったかな。ただこういう作品は観終わって少し経ってから、じわじわっとくるような気もします


ポール・トーマス・アンダーソン作品は『マグノリア』を観たことがあります。あれには人間に対する愛情がけっこう感じられたのですが、なんだかPTAさん、人間のこと嫌いになっちゃったみたいですね(笑)
果たして8年の間になにがあったのでしょう


『つぐない』は初めが笑えましたが、『ゼア・ウィル〜』は最後が笑えました。いやー、たくさん映画観てきたけど、こんな風に言って終わった映画は初めて観たわ(笑)


オスカー関連を4作品観てきましたが、インパクトのあった順番でいうと『つぐない』>『ノーカントリー』>『フィクサー』の順でしょうか。『ゼア・ウィル〜』はまだ自分の中で消化しきれていない感じ。数日かけてゆっくり考えてみたいと思います


本店にアメコミ『バットマンキリング・ジョーク』の記事UP
http://sga851.cocolog-izu.com/sga/2008/05/post_8b14.html